着ぐるみのお手入れ方法(外側)

使用後の手入れを怠った着ぐるみの中には、既に取り返しがつかないほど汚れや臭いが染み付いてしまっているものを見掛けることがあります。一回のクリーニングだけでは汚れを落とすことが出来ず、素材が劣化していて水で洗う事すら難しくなっている場合もあります。

また、着ぐるみには様々な異なる性質の素材が使用されています。縫製されている箇所もあればボンドで接着されている場所もあります。仕様によっては水に弱い素材が使われていることもあります。そのため、丸ごと洗濯機に掛けたり丸洗いをすることは安易に出来ません。

とはいえ屋外で使用する機会も多いので、使用後にメンテナンスを行い着ぐるみを清潔に保つ事が、着ぐるみを長持ちさせるための一番の方法です。

着ぐるみ使用後や汚れが付いてしまった際のお手入れ方法をご案内します。

使用後のお手入れ

ボア素材着ぐるみの表面は、大部分の面積が起毛感のあるボア素材を使用して制作されています。このため、着ぐるみはフワフワとした大きいぬいぐるみのように見えます。
着ぐるみの使用後、ボア素材についた軽微な汚れを落とし、毛並みが変わってしまわないように保管するための方法をご紹介します。

使用後すぐにブラッシングをする

ボアの表面についてしまったゴミやほこりは、その都度落とすのが鉄則です。使用後はこまめにブラッシングをして下さい。

ブラシは必ず柔らかい毛のブラシを選びます。ファーや革もの専用のブラシが一番良いのですが、手に入り難い場合は靴用の豚毛ブラシなどで代用可能です。サイズも着ぐるみに使うのにちょうど良いものが探しやすいため、着ぐるみのお手入れ用に向いています。

着ぐるみ手入れブラシ
硬いブラシを使用すると、ボアの基布を傷つけ、毛の間に線が入ってしまったり、パイル糸の脱落の原因に繋がります。一度抜けたら元に戻りませんので注意してください。

着ぐるみ手入れブラッシング
毛の流れに沿って優しく撫でるようにブラッシングします。毛の流れを整えるのにも使えます。

ガムテープでペタペタ!汚れ落とし

少し汚れてしまったからさっそく濡れぞうきんでゴシゴシ・・・というのは駄目です。汚れが沈着したり余計に広がってしまう原因になります。

ブラッシングだけでは落とせない軽い汚れ、毛に絡んでしまったゴミやほこりは、市販のガムテープでペタペタして落とします。
粘着力が弱めの紙ガムテープを使用して、汚れ部分を優しくたたくようにして丁寧に作業します。

着ぐるみ手入れガムテープ

軽い汚れはこれで目立ち難くなると思います。しつこく叩きすぎると脱毛してしまうのでやりすぎは禁物です。
ボアは比較的お手入れが簡単な生地と言われていますが、汚れ・色落ち/色あせ・熱によるパイル糸の変質・パイル糸の脱落などに十分に注意して扱ってください。

汚れてしまった時のお手入れ

汚れがついてしまった時に行うメンテナンス方法についてご紹介します。

軽微な汚れの拭き掃除クリーニング

ブラッシングやガムテープでは落ちない汚れは、ご自宅・会社に戻ってから清潔な場所で簡易クリーニングをしましょう。

まずは、硬くしぼった清潔なタオルで、ボアの汚れた部分を軽く拭いて下さい。
次にタオルにおしゃれ着洗い用洗剤(アクロンやエマール)を少量垂らして、よく馴染ませて、優しく叩くようにして汚れを除去してください。
最後に、清め拭きをして洗剤を落とします。

拭いた後にはすぐにしまわず、風通しの良い日陰でしっかりと乾かしてカビの発生を防ぎます。

汚れた靴の丸洗い方法

靴(パーツ)

着ぐるみの部位で最も汚れやすいのは靴です。

乾いた状態でよくホコリを落としてから、簡易クリーニングの方法でのメンテナンスが基本ですが、それだけだと不十分な場合があります。
屋外のイベントで動きまわり、終わったときにはたった一回の使用でも土埃や泥だらけになってしまうことも珍しくありません。

長期間放っておくと汚れが沈着してしまうため、何度か使用して汚れが気になったら思い切って丸洗いをします。

1.十分な水量のシャワーですすぎ、表面の汚れを流します。

2.「固形石鹸」をよく泡立て、靴の表面を優しく洗います。(ゴシゴシするのはNGです)
洗濯用石鹸を使用すると更に汚れがよく落ちます。使用する場合、白い生地以外は「蛍光増白剤」の入っていないものを選んで下さい。

3.水で石鹸をよく洗い流します。
汚れが残っていると乾かした時に汚れが残ってしまうので念入りにすすぎます。

4.数時間ほど立て掛けて水をきってから、乾いたタオルで水気を拭き取ります。
水気を含んだままで長時間置いておくと、内側のフォームが重力に負けて変形してしまいますので注意して下さい。
また、水をきる際に雑巾絞りはしないで下さい。(生地が傷んでしまいます。)

5.風通しの良い日陰でよく乾かします。
扇風機を使って風を送ってあげると乾きやすいです。半乾きの時にブラシで毛の流れを整えてあげると綺麗に仕上がります。

ズボンの洗濯方法(ウレタン着ぐるみ)

ズボン(パーツ)靴の次に汚れやすい部分は脚(ズボン)です。
手・足が胴体から分離できるウレタン着ぐるみの場合は、簡単に丸洗いが出来ます。
※ズボンに合成皮革・ゴム等が使われていたり接着剤が使用されている場合、丸洗いは避けて下さい。

1.おしゃれ着用洗剤(エマール・アクロン等)を使って、ぬるま湯につけて優しく手洗いします。

2.よくすすいでから、軽く押さえて水を切ります。

3.洗濯機(「脱水のみ」が選択できる機種)で5〜10分程度、軽く脱水を掛けます。

4.風通しの良い日陰でよく乾かします。
半乾きの時にブラシで毛の流れを整えてあげると綺麗に仕上がります。

着ぐるみ本体が汚れてしまった場合

仕上げ5内部の構造や目・パーツの素材によって、丸洗い出来る着ぐるみや拭き洗いのみでの作業が必要な着ぐるみがあります。
また、ボア素材の基布(毛が埋め込まれている基盤)まで汚れが浸透している着ぐるみをキレイにするのは特に大変です。

洗える着ぐるみの場合でも万が一の事を考え、お客様ご自身で丸洗いを行うことはお勧めしません。
また、一般のクリーニング業者さんは着ぐるみの取扱いを行ったことがないところがほとんどのため、着ぐるみや舞台衣装などの特殊衣装を専門にしているクリーニング業者さんにお願いする事をお勧めします。

キグルミックスでも、弊社製の着ぐるみの補修・クリーニングを承っています。
【補修・クリーニングのお見積りフォーム】
汚れや破損の状態によって適正な作業内容と見積もりをご案内します。

手作業で一点一点水を使用した拭き作業でのクリーニングを行なっています。
内側・外側それぞれを、乾燥時間を除いて6〜10時間掛けてしっかりと汚れ除去作業をしています。

着ぐるみが濡れてしまった時の対処

使用後は出来るだけすぐに干す

グリーティングの終わった着ぐるみは、着ぐるみ内部や生地に湿気がこもります。

ご着用後は、着ぐるみ内部や表面のボアを乾いた清潔なタオルで拭いて、出来る限り水分を取り除いてください。

後は風通しの良い日陰でしっかり乾かします。

着ぐるみ手入れ干す02

ウレタン製の着ぐるみの頭部は逆さまにしたり、布と綿のみで作られている衣装や手袋などの小物は、裏返したり、物干に掛けたりして、なるべく乾き易いように工夫しましょう。

雨に濡れてしまった場合

野外イベントで活動する場合、雨に濡れてしまうことがあります。
雨天時の出演は控えた方がトラブルは少ないのですが、もしも雨に濡れてしまった場合は、次のように対応してください。

まずは表面のボアに染み込んだ水分を、マイクロファイバータオルまたは吸水クロスを使用して出来る限り水分を取り除いてください。
ゴシゴシこすると毛が痛んでしまうので、なるべく毛に沿って撫でて、逆毛にする場合はゆっくり丁寧に拭き取ってください。

表面の水分を拭き取ったら、内側もタオルで拭きます。

ウレタン着ぐるみなど芯材が入っている場合も同じです。
補強2
硬質ウレタンフォームは単独気泡という水を通さない性質があるので、表面の水がそのまま染み込むことはありません。しかし内側に湿気が残っているとカビが発生してしまう可能性があるので、可能な限り丁寧に拭き取ってください。

その後は、風通しの良い場所で扇風機を使って風を当てて乾かします。
干せるパーツは物干などに掛け、芯材が入っている場合はひっくり返して半日以上乾かしてください。
着ぐるみ手入れ干す
このときドライヤーの熱で乾かしたくなる思いますが、出来るだけ避けてください。

アクリルボアは熱に弱いので、近くで熱を当てると毛が変質する可能性があります。また、芯材に硬質ウレタンフォームや軟質ウレタンフォームを使っている場合も同じで、長時間熱を加え続けると変形したり、最悪の場合破損の恐れがあります。

もしドライヤーを使う場合は、送風のみ使用し、軽くブラッシングしながら乾かしてあげると毛並みが整いやすいです。

または、扇風機の近くに置いておくと乾きが早くなります。

防水スプレー

ご使用前にフェイクファーなどに使用可能な防水スプレーなど軽く噴いてあげると、簡易的な汚れ防止になります。
全体に掛けると大変なので、足元などの汚れ易い場所のみに使用するのがオススメです。

防水スプレーを掛ける前に、汚れを落として下さい。汚れやゴミが付いていると、汚れをとりこんだまま皮膜を作ってしまい逆効果です。
また、しっかり噴きすぎると毛が寝たままになってしまって、ふわふわ感が損なわれてしまうので気をつけてください。

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